2014/08/09

治療者は何を治療したいのか

気のせいだとは思うが、私がラジオで放送大学を聴くと、なんだか常に統合失調症の話をしているような気がする。妄想ではなく、たまたま「精神医学特論」やら「精神看護学」などを放送しているときに、私がスイッチを入れるだけなんだろう。
特に聴きたい内容でもないのだが、一応、最近の精神科の流れを、何気にでも掴んでおかないと、こちらがどんな目に遭わされるかわからない。

アメリカ精神医学会で作られたDSMという診断基準が、昨年あたりから主流になるという話を聞いていた。色々と辻褄を合わせるために、枠組みが作り替えられて、振り回されるのは医療関係者だけではない。
統合失調症の診断基準に「シュナイダーの一級症状」という、その筋では有名なのがあるらしい。近々、精神障害者手帳の申請をしに行くので、自分が「シュナイダーの一級症状」に当てはまっているか、確認してみたが、そこは問題なく、私は統合失調症で間違いなかろう。

しかし。



こういう記事↑を見ても、一体、治療者は統合失調症の何を治療したいのか、当事者の私にはわからないのである。
私が統合失調症だと、困るのは誰なのか。私は何も困らない。あれは、治療者が困るから治療したいのだ。私のような当事者は、それに配慮してやっているだけだ。

私が統合失調症の当事者でありながら、何の公的支援も受けることなく、地域社会でふつうに働いて暮らすことができているのは、急性期を過ぎて、現実の社会の中で、私が統合失調症であることを語らないからだろう。
統合失調症というレッテルを持ち出してしまうと、持ち出された相手が困りはじめる。だから、相手への気配りを優先して、聞かれないなら言わない。

つまり、社会が統合失調症を、事実ではなく妄想で捉えているから、その妄想に当事者であるこちらが配慮してやっている、というのが、私の現状である。エエ、もう配慮「している」「させていただく」ではなく、「してやっている」です。
立場が逆転しているのである。ふつう、妄想があるとされるのは、統合失調症の当事者の側であるが。ヒステリックな社会の側の、統合失調症に対する妄想が、酷い。その酷さを喩えるなら、たとえば。

「うどん県、それだけじゃない香川県」と言ってしまえば、ヒステリックな社会では「うどん」だけがひとり歩きして、「それだけじゃない」方が置いてきぼりにされるのである。

同様に、生活保護といえば「不正受給」だけがひとり歩きし、統合失調症といえば「危険な人」だけがひとり歩きをする。

統合失調症の人が地域社会の中にいると、なにが困るだろう。確かに、統合失調症の人の中には、面倒くさい人もいるが、統合失調症でなくとも、面倒くさい人は大勢いる。その面倒くさい人々は、地域社会の中で受け入れられる。
で、私に幻聴が聴こえていて、誰が困るだろう。私はすでに幻聴が聴こえて困ることなどないし、黙っていれば、誰も私を障害当事者だと思うこともない。そもそも、私が精神病院に入院させられたのは幻聴さんのせいではあったが、退院できて再入院することがなかったのも、「ここにいたらいけない、早くここから出ろ!」という幻聴さんのおかげであった。

それであっても、確かに、私が統合失調症であることは事実なので、精神障害者手帳の申請はしておこうと、医療機関の予約をいれた。
医療機関は、随分と混み合っているようである。

以前の職場でお別れの際にカムアウトしてみたら、同僚ヘルパーに「どうしてあなたみたいな人が手帳取れるのよ、手帳を取らないでふつうにやっていこうとは思わないの!?」と言われたが、この人は、ヒステリックな社会の妄想に捕われていた、と私は思う。

まず、統合失調症か否かは、手帳の有無の話だろうか。
精神障害者手帳を取得して、ふつうにやっていってはいけないのだろうか。私が手帳を取得したらふつうにやっていけない、としたらおかしいだろう。
そもそも、いくつかある社会保障制度、あれを使えばトクだ、ソンだ、というものではないだろう。社会保険だろうが社会福祉だろうが公的扶助だろうか、それらの制度を使うことで、トントンになっていないといかんだろう。

それと、はっきり言って、私に障害があるように見えないのは、この私の絶えざる周囲への配慮の努力のたまものなのである。と、そこは、医師には言わない。自分がキチガイである立場を理解しているから。正常な人間は、立場をわきまえて、言葉を選ぶものである。
誰も褒めてはくれないが、正常な人以上に正常である努力をして、どこから見ても正常にしか見えない、血の滲む思いで努力を重ねた、私はエラい子なのである。
そんなエラい私も、何の衝撃で病状が再燃するか、わからんので、障害者手帳を取得しておくのは、おかしなことではないのである。

ヒステリックな社会の妄想は、この、おかしなことが掴めていないのである。

0 件のコメント:

コメントを投稿