2014/07/20

「忘れもの」は取り戻せない

地政学の本を読んでみようと思って、たまたま手に取った一冊『経済学の忘れもの―地政学で世界を解く』。タイトルに「経済学」という言葉が入っているが、

”世界の巨大宗教の歴史とその強靭性を調べつつ、日本経済の再建にとって日本独特のイエ宗教が如何に重要であるかを述べる”

と、冒頭にこの本の主旨がある。ということで、中身は宗教の本のようである。
難しいことが書いてあるのかと思いきや、割とライトノベルを読むような感覚で読める。

のっけから「すげー、こいつ ”神” 理解できてない!」と、ド肝を抜かれる。なのに宗教を語ってしまう、この著者の凄さ。経済学が何を忘れものしたかすらわかっていないのに、こんなタイトルをつけてみました、という滑稽本なので、多分、これを読んでも、タイトルにある「忘れもの」は取り戻せない。

しかし、「常識的」な「一般」の日本人を固めておく檻としての「イエ」を、あらためて概観するには良書だといえる。また、ツッコミどころが数多く散見されるので、ディベートで論破する練習にも役立つと思う。 

私にとっては、モーゼの十戒をどのように記述するかで、その人の神の捉え方がわかるのだということに、気づかされた。恐らくこの著者は、自ら著作内に引用しているボルテールの「理性や経験を超越した絶対者(神)の存在を証明するのは不可能だ」という言葉の真意にも理解に及んでいないだろう。

経験や学識を蓄積しても、”神”に気づく機会も無い人もいる、という、世の中のシビアな現実を目の当たりにした感である。

私がこの本を読んで、こういった感想を抱けるのは、この本に触れる以前に『障害と開発―途上国の障害当事者と社会』に触れていたことが、大きいかもしれない。しかし、この著者のような人は、福祉を単なる人心の懐柔の道具ぐらいにしか理解できないと思う。
だからこの著者にような人こそ、「経済学」というイエを出て、福祉を学問的に概観して、新たな視点を手に入れるのが、タイトルの「忘れもの」に気づくことのできる、手っ取り早い手段かもしれないが、こういう人には「イエ出」をする勇気など無いと思われる。

で、この本には、イスラエルがパレスチナを空爆する理由が、さも正当であるようなことが書かれてある。
私は、この著者のような宗教観を鵜呑みにする日本人は、誇るより恥ずべきだと感じる者である。





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