2013/10/12

高齢者の性の問題への上品な対応策がヒドい件

NHK 社会福祉セミナー』のテキストに、『介護者への性的表出〜理解と対応』というコラムがあり、 ” 男性高齢者から女性介護者への性的働きかけを中心に、どのように理解し対応したらいいのか ” を考察しており、女学校出のオババ的な上品な対応策が示されていた。
(1)「あり得ること」として、自分の中で心構えをしておく←(まぁそうだろう。)
(2)「無理のない対応」けれど「屈辱感を与えない対応」←(これは難しい。)
(3)自分の許容範囲を自覚し、自分なりの対応を考えておく←(そうするより仕方なかろう。)
(4)利用者の内的・心理的欲求に思いやり、対応を工夫する←(と、一応言っておかないとね。)
(5)同僚や組織の上司に相談する←(相談したからといって解決はしないし、その気にさせる介護者が悪いように言われることもある。)
対応策はともかくとして、私が一番いただけなかったのは、
「援助を受ける高齢者」と「対人援助の専門職である介護者」という関係性がベースにあるわけです。対人援助のプロとしては、性的表出は本来、時、場所、相手を選んで表すべきなのにコントロールできなかったのはなぜか、「その人」への理解を深め、その意味に思いを巡らし、そこから対応を導き出すことが求められると思うからです。
という、対応策に至る考え方の道筋、特に ” 対人援助のプロとしては ” には吐き気すら覚えた。私流に言えば、「こちらに向かってくる高齢者の性的暴力に対してプロ酔いして対処せよ」みたいなことだ。ひねくれた受け止め方とでもうがった見方とでも、何とでも言うがいい。こちらは暴力を振るわれる側で、誰に守られるでなく、自己責任で自分の身を守らねばならないという事情がある。

私は、プロである以前に、人間であり、私である。

私ならば、状況にもよりけりだが、利用者と対等な目線に立つならば、「屈辱感を与えて黙らせる」のが、「無理のない対応」である。
同僚や組織の上司など、パワハラとセクハラをないまぜにして、こちらに責任を負わせてくるので、事後報告はしても、相談などできる相手ではない場合もある。同僚や組織の上司の中にこそ、こちらの性的被害を、そこはかとなく妬む奴がいたりして。

「対人援助のプロならば、電車で痴漢に触られても声も上げず押し黙っているのごとくに、そういう状況に慣れてしまえ」とするならば、プロの仕事を理由に性的に歪んだものを介護者に押し付けていると、よくよく自覚してほしいものである。
制度で、相応の我慢料を介護者に支払え。
また、対人援助のプロという上から目線なら、介護者がとるべき対応策以前に、性的表出の過剰な利用者を攻防する、社会的な啓蒙の具体策を講じた方がいい。
介護者は、いくらでも代わりがいるというほど、人的資源に恵まれているだろうか。現実的に考えるべきだ。

まぁ本来、私は人間嫌いで、他人を触るのが嫌で、不向きであるにも関わらず、ヘルパーなんぞをやっているわけだから。
「生理的にムリ」というのは、ヘビを見て、虫の幼虫を見て悲鳴をあげる、あのムリさと同質かもしれない。慣れるまで繰り返したところで、結局、ムリはムリ、という類のものだと、私は感じる。

そもそも、性的な問題の理解には、多様性がある。性的なことを突き詰めれば、いのちの問題は避けて通れぬわけで、いのちというのは、多様性に富んでいるのだから。
そんなわけで、私のような者ではなく、人間が好きで、人とのふれあいが心地よいと感じる人の中には、上品なオババ的対応で「なるほど」と納得できる人もいるのかもしれない。

まぁ、勝手にしてくれ、と思う。

ところで、ビッグ・イシューのメルマガに、デンマークの福祉政策についての記事があった。
デンマークでケア・ワーカーになるためには、1年間専門学校に通わなければならないが、その学校の費用は無料、学校に行っている間は、返済義務がない生活支援金も貰えるという高待遇だ。ケア・ワーカーは地方自治体の公務員であり、労働条件は、週に37時間、そして1年間に6週間の休暇。子どものいる家庭ではさらに手厚い待遇があるそうだ。(
デンマークの高齢者介護の現場を、実際にこの目で見て話を聞くと、日本の社会福祉制度や介護制度は大幅に遅れていると感じざるをえなかった。デンマークの介護の現場は、本人の自立性を最大限に尊重する為の制度と精神が両立しており、介護に関する家族への経済的・精神的負担は限りなくゼロに近い。介護する側もされる側も同様に、どんな立場でも生きることに積極的になれる制度、自立性を徹底的に尊重する精神性、本来あるべき、「自分らしく生きる」権利があらゆる観点から守られている。(
これを見て、デンマークではなく、日本といういのちの意味のわかっていないアホだらけのクソのような国で、粗末に扱われるヘルパーをやらざるを得なかった私は、かわいそうな子だと思った。


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