2013/08/31

デート日和

金無いくせに忙しくしていて、ダンナと一緒にどこかに出掛けるにも、なかなかタイミングが合わないのだが、久しぶりに、一緒に隣町まで自転車で出掛けてブラブラしてきた。
駅ビルの店や百貨店を、「これなら自分で作れる」「これが無くても生きていける」などと言いながら、何も買わずに、ただ見て歩いたのである。

百貨店の中で、フロアーの床に時めいたダンナが、とっさに、あろうことかムーンウォークの練習をはじめてしまった。「なんかこの床、すごいやりやすそう」と言いながら。
確かに、手狭な家の畳や絨毯の上でムーンウォークは難しいかもしれない。 人見知りが激しく常識的なダンナが、誰に見られるかわからんような公の場所で、ムーンウォークの練習をしてみるなどとは、ちょっと私も意外だったので、驚いた。ダンナにも常識の枠を外せるだけの大らかさが身についたのだと思うと、私としては微笑ましいものである。
それでも、ダンナのそれは、まだまだムーンウォークとは呼びづらいレベルで、伸びしろは充分ある。ゆくゆくはダンススクールにでも行って、ちゃんと教えてもらうがよかろうと思う。

そうして、引っ越して来たての頃に一緒に行ったクレープ屋なんぞに行ってみた。
そこで茶をしばきながら、私は昨日の夜回りで見聞きしたことを、話していた。

「…あらゆる人に尊厳があるから、と思って動いている善意の人の、善意を完全に打ち砕くほどの最強のクズとの付き合い方って、どんな方法があると思う?」

「…うーん」

と考え込むダンナ。
少々困った人、かなり困る人、というのはそれなりに遭遇するものだが、クズ中のクズというのは、私がふつうに暮らしていても、そうそうお目にかかることはない。しかしやはり、こちらの想定をはるかに上回るクズが、いるのである。
そのクズのスペックなどの詳細をダンナに話しているのを、隣の席で文庫本を読んでいた老紳士が、本を読むのをやめ、何やらこちらの話に聞き耳を立てはじめた。

そんなにおもしろいか、この話。

コーヒーカップが空になり、私たちが席を立つ時に、私と隣の老紳士は、ばっちり目が合った。彼は何か言いたげであったが、感想があるなら別に遠慮なく言ってくれていいんだけど、と思いつつ、私たちは店を後にした。

残暑とはいえ、日中は暑かった。

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