2013/03/13

「純潔」と「貞潔」のニュアンスが微妙

私がはじめてトルストイの『光あるうち光の中を歩め 』に触れたのは、中学二年の時だった。
初恋の国語の先生に近づきたい乙女心()は、読めもしない難しい書物を、私の手に取らせたのである。「こういう本がさらっと読めるような人になりたい」と、形から入って、力技で無理からに読破して、イマイチ意味がわかっていないにも関わらず、ひととおり読み終えた後の達成感は、なんか、もの凄い、「やったったぞ!」というカンジだった。
といっても、数ある本の中から、わざわざこの『光あるうち光の中を歩め』を選り抜いたのは、本が薄かったから、なんとか読めそうな気がしたからに過ぎない。のっけから『アンナ・カレーニナ』だの『戦争と平和』だのを掴むほどの勇気はなく。

薄い本だと侮っていた14歳の私は、当然のごとく、何も分かっていなかったので、あれから二十六年経って、今さら読み直してみると、薄い割りに、中身は濃過ぎるほどに濃く、“真理”が切に身に迫ってくるのである。
200年以上前にすでに、世の中の秘密は解き明かされていた、と。今を生きる私の身の上に、何ら新しいことはない。

他人に対する絶えない配慮を根本とする静寂な労働生活は、人命の犠牲を伴う一時的の勲功よりも、ひとびとのためには較べられないくらい有益であり、また困難であることを確認してくれます。

真の人間になることを望まない、もしくはそうするだけの力を持たないこれらの人間は、ある一国家の人民とか、または社会の一員とかいう状態にとどまっているから、自然、人間のさらに高い使命を見出し確認する人たちに、敵意をいだくようになります。自分自身この最高使命を認めることを望まなかったり、もしくは認めることができない結果、彼らは他の人たちにもそのことを許容しないのです。


熱意を持って続く仕事をする、ということを考えると、できることなら、トルストイのような人のところで働きたいものである。しかし残念ながら、俗世でそれを言えば嘲笑されるだけなのである。

ただしかし、トルストイの性愛に関する記述だけが、腑に落ちない。実はトルストイは童貞か、あるいは彼の周りの女性のレベルが低過ぎたか、という印象。それとも、私がトルストイのレベルに全く追いついていないだけかもしれない。

そう感じさせる原因は、「純潔」と「貞潔」のニュアンスかと思う。

トルストイが語っている性愛は、「純潔」についてであって、私はそれよりも「貞潔」の方が大切であって、「純潔」を求めることは、非常に危険極まりないと思うのだが、ロシアやその他の国で、「純潔」と「貞潔」の二つの言葉は、どのように扱われているのか、それがわからないので何とも言えない。
一応、Google翻訳で英語に訳してみると、「純潔」も「貞潔」も、同じように翻訳されるようだが、「純潔」を表す単語の方が多い
 「貞潔」
chastity 貞操, 純潔, 貞節, 貞潔, 操, 貞淑
purity 純度, 純潔, 無垢, 清純, 潔白, 貞潔
 「純潔」
purity 純度, 純潔, 無垢, 清純, 潔白, 純真
innocence 無罪, 潔白, 無邪気, 純真, イノセンス, 純潔
chastity 貞操, 純潔, 貞節, 貞潔, 操, 貞淑
virtue 美徳, 徳, 善, 効能, 貞操, 純潔
simplicity 単純, 簡潔, 簡略, 簡素, 簡易, 純潔
guiltlessness 純真, 純潔, 潔白, 純度
morality 道徳, 道義, モラリティー, 純真, 純潔, 潔白
rectitude 潔白, 純潔, 純真, 善徳, 純度, 善心
sincerity 誠意, 真心, 真摯, 正直, 純真, 純潔
guilelessness 天真爛漫, 純潔, 純真, 純度
一方、goo辞書によると、日本語ではこうなっている。
てい‐けつ【貞潔】[名・形動]貞操が固く、行いの潔白なこと。また、そのさま。「―な女性」「―堅固」
じゅん‐けつ【純潔】[名・形動]
1 けがれがなく心が清らかなこと。また、そのさま。「―な精神」
2 異性との性的なまじわりがなく心身が清らかなこと。「―を守る」

私の中で、「純潔」は、抗菌仕様と純粋培養のような、意図的で不自然なもののような印象があり、「貞潔」は、ダイヤモンドが汚れても洗えばよく、そして傷つかないものであるような、そういうものとして浮かぶのだが。
それが正しいのかどうか、なぜ、私は「純潔」と「貞潔」を違うものとして、分けて理解しているのか、はたと気づくと、よく分からなかった。

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