2013/02/23

超常現象のある日常

「ガラスを飲み込んで、カラダの中にガラスが入っているから、さわらないで」

と言って、ベッドの中から出ようとしない、バアちゃんがいた。
しばしば幻聴に惑わされているようで、調子の良い時はふつうのバアちゃんだが、悪い時はよく、見えない誰かとよく喋っている。
身体の中にガラスが入った時の騒動は、医者に診てもらったり薬をのませたり水分補給をうながしたり、なんだかんだ数日経っておさまったものの、後になって考えると、実際に、騒動の最中にバアちゃんの身体の中から、ガラスを取り出すという、サイババ的なインチキ小細工でも、よかったのかもしれない、と思った。

ガラスの欠片を手の中に隠しておいて、うーん、うーん、と派手に念を使っているように装って、「ほら、ガラス、出たよ」などと超能力を見せてやって、あとはエクソシストっぽく派手にお祓いをすれば…。
それで金儲けをして、サイババもウマいことを思いついたものである。

と、そんなこんなの、ある日、うちのダンナがUMA(未確認動物)を見たという。

なんでも、先のクリスマスの日、たまたまゆっくり自転車を漕いでいたら、目の前を体長1メートルはあろうかという、灰色の、尾の長い生物が、民家の塀の上をつたって、民家の壁をスッと垂直方向にのぼって、そのまま屋根をつたっていったとか。その生物が物体の角を移動するときは、常に直角だった、という。
ネコにしては、尾が長い。イタチかハクビシンが、壁を垂直につたってのぼっていくだろうか。それにしては、色がめずらしい。
で、「オレは見た、絶対、ぜったい!」と言い張る。

…ダンナよ。悪い会社に騙され、いいように使い捨てられ、打ちたてようとしたものを次々と崩され、壊され、信じるものもやる気も見失い、今や心の依り代を藁をもつかむ思いで探し求めている、その不安定な心境はわかる。今なおさまよう心は、とうとうそんな、ありもしないマボロシまでを見せるようになったか。…

と愕然とする反面、私もそういった「この世のものでないもの」だの「マボロシの」「伝説の」といった、心躍らせる神がかり的なものは好きなので、先頃見た不思議な現象を、思い出した。

自転車で畑の脇の道を走っていると、畑の側溝に誰かが首から突っ込んで倒れているのが見えた。
近づいて見ると、単にヤッケとジャージと長靴が落ちているだけで、しかしそれはまるで「人の抜け殻」のようだった。
とっさに私は、ここで誰か、UFOにさらわれたのではないか、と思った。

その話をダンナにすると、ダンナも同じ光景を目撃して、同じ推測をしていた。

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