2013/01/04

「科学は科学者に任せておけないほど大切である」(イギリスの諺)

最近、土に纏わる本を、図書館で何冊か借りて読んでいる。「ミミズいません、土死んでます」などといった内容の本である。
健康な土は黒く、赤い土、黄色い土、白い土は「老いた」「痩せた」土なのだとか。健康な土を思い描くとき、ブナ林や雑木林の黒い、ふわふわ、さらさらした土を思い浮かべるとよい、とか。

生物の多様性ということが、なぜ大事なのか、そのことをリアルに実感するには、土の現状を知ることだと得心がいった。
そういった学びの場に、私はこれまで縁が無かったと思う。

私が高校を出た時分に出版されたらしい本の前書きで、それまで、土壌圏についての情報提供が拙劣であったことを、大いに反省した著者の言葉があり、
小学校から高校、大学の一般教養課程までの教科書、テキストの類をのぞいて見てほしい。(中略)。土壌のことを、どの過程ででも、系統的に、そしてそれに関心を抱かせるというようなやり方で、かつて一度も教えていないという実状を知って、誰しもきっとびっくりされるに相異ない。

学校教育がそのような実状であるから、まして社会教育界ではさらに情報が得にくく、…云々。(『すばらしき土壌圏―この知られざるいのちの宝庫』より)
というのを見て、土の粒子の単粒構造と団粒構造といったことも、私が土についてあまりよく知らないのは、私自身が理科が苦手だったことだけでなく、理科の先生の教え方がイマイチだったとか、教科書からしてイマイチだった事情に、少し安心できたのである。

「人類が土壌圏とどのようにかかわっていくか」という漠然とした問題に対して、上の本の15年後に出された別の本になると、更に研究が進んで、もう一歩踏み込んだ具体策についても述べられている。
…現代農業のもと、土は病んでいます。その主要な自然科学的要因は、農耕地における炭素(有機物)循環の破たんと、農薬の多使用にあると見られています。「健康な土」にとって不可欠な条件である物理的・化学的・生物的緩衝作用の低下がもたらされるのです。その結果、農薬と病害虫のいたちごっこが繰り広げられることになります。

多くの農家の方々は、これらの現代農業の弱点を理解しています。ですが、現在社会を支配している市場経済至上主のもと、心ならずも、現代農業を営むことを強いられているのです。むきだしの市場経済は、土の劣化や環境への負荷にまったく考慮を払わず、目先の価格の低廉さや虫食いの有無などの外観のみを重視し、輸入農産物との価格競争をも農家の方々に強いるからです。

…(『「健康な土」「病んだ土」』より)

土の現状から、農林業の現状と、人として何をすべきで何をすべきでないのか、ということが自明になってくるのである。
しかし、農林業に携わる者でもないこの私が、こんなことに関心を示して、一体何の得があるのかと、嘲る輩こそが、この先も、滅びの狂想曲に踊り狂う輩である。
そんなものは、おまえだけが滅んでおけと、一蹴して葬り去るのである。

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